コンセプト

使い心地の良い家具を求めて

足利赤十字病院 名誉院長 小松本 悟

近年、物価高騰などにより病院を取り巻く環境は厳しくなっている。多くの病院が赤字経営に陥り、病院の廃院・再編統合が行われている。その様な状況の中でも、「患者さんがこの病院に来てよかった」と言ってもらえる病院になるため我々病院は質の高い医療を提供し続けている。
今、日本は世界に先駆けて人口減少と超高齢化社会を迎えている。入院患者の多くが高齢者で、治療
開始と同時に介護も必要となってきた。この様な入院患者、家族の多くは不安を抱えているということを知っておくべきである。病院は不安を抱えた患者、家族にとって不安空間そのものである。患者、家族が病室に入ると最初にベッド、内装、特に家具を無意識に見るであろう。そして、不安空間が、安心できる空間に変化しなくてはならない。入院後徐々に使い易い家具が使い心地の良い家具となり、心理的安全性が得られなくてはならない。

病室の家具は我々医療者の一員となり、以下3つの責務を果たしてくれている。
⑴ 転倒リスクが低いなど医療安全に配慮しなくてはならない。
⑵ 環境感染対策に貢献しなくてはならない。
⑶ 患者、家族と我々医療者の心理的負担を軽減するものでなくてはならない。
(手触り、色調、坐り心地、視線の高さなどが考慮されていなくてはならない。)
以上の3点のコンセプトにより、患者満足と職員満足が得られ、病院のブランド価値創生に繋がる。我々病院は医師をはじめとした多職種連携チームであることから、病院の家具はモノではなく無言の医療協力者ではないかと考えている。家具投資は転倒率、院内感染防止、クレーム率の低下をもたらし、病院経営における重要な価値投資になると信じている。

高齢者と共に地域の人々が様々な活動を通じて共助し合う共生社会の構築が行われつつある。私たちが
生活する都市には、病院をはじめ多くの公共施設がある。以前はこれらの施設は、本来の目的以外の使用は許されず、閉鎖的で内装・家具も含め冷たい空間であった。最近、病院も待合所、コンビニ、食堂を休日も含め一般に開放するようになった。今、都市には多種多様なニーズに応えられる公共施設が開放されている。病院の待合、市庁舎、地域コミュニティセンター、駅のコンコース、図書館、コーヒーショップが心地よく過ごせるサードプレイス(第3の居場所)となりつつ、新しい空気と活動が生まれている。受験/資格試験の準備をしている学生や若者、テレワークをする会社員、楽しく会話する若者達、多様な人々が居場所づくりを楽しみながら、彼らの自己成長や新たな人脈形成の場となり、生活の質を高めている。それぞれの選択された場には、機能・安全性とデザイン等のコンセプトが考慮された家具が彼らの社会的なつながりを支えている。災害時の公共施設は、地域住民の避難や救急の拠点として開放されている。特に病院や学校施設は、重要な場所であり、そこの家具も心の癒しと休息を与えるものであって欲しい。
今後、病院をはじめとした多くの公共施設で、我々の生活の質を高めてくれる家具をナゼロさんに期待する。

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